このインタビューは2019年3月におこなわれました。肩書等は実施当時のものです。
SGホールディングス株式会社 代表取締役会長 栗和田 榮一 氏
内永 SGホールディングス様は「2019 J-Winダイバーシティ・アワード」にて企業賞ベーシックアチーブメント準大賞を受賞されました。物流業界は特に男性中心のイメージがあり、女性の活用には課題が多いと存じます。そんな中、女性活躍推進について業界の先駆者と言える様々な取り組みを進めていらっしゃることが、評価のポイントとなりました。
栗和田 ありがとうございます。当社としてはまだまだ道半ばの部分もございますが、受賞できたことでこれまでの方向性が認められ、ある意味「女性活躍推進の新たなスタートライン」に立てたと思っています。これからもしっかりと社内の改革を進めていきたいと考えています。
内永 私自身、栗和田さんにはぜひ一度お話を伺いたいと考えておりました。と言いますのも、栗和田さんは以前より「収益の30%を女性社員によって生み出したい」と宣言されていました。「女性管理職比率を○%まで引き上げる」といった数値目標を宣言される企業は多いのですが、ビジネスの直接の成果を目標に掲げ、明確に口にするトップの方は非常に少ないのです。ゆえに栗和田さんの女性活躍推進に対する本気度を感じました。なぜそのような宣言をされたのでしょうか。
栗和田 一言で申し上げるなら、「時代、環境の変化」が大きく挙げられます。企業活動を長く持続させるためには、その変化に応じた「システムづくり」や「先を見通す力」が必要になります。
内永 これまでも変化の必要性を感じたことはございましたか。
栗和田 1990年代初頭に、当社は多額の負債を抱えて経営不振となった時期があります。
社長に就任した私は、再建の道筋を前倒しでつけた頃、この先は、何が会社の求心力となるのか、と考えました。社長就任当初から、この国は少子化傾向にありました。10年後にはドライバーが不足し、これまでのビジネスモデルでは企業活動が成り立たなくなるのではないか。私はこの危機感から、ビジネスモデルを変えるための、仕組みづくりや先を見通す力の必要性を強く感じたのです。そして「男性主体の力仕事」といった職場を改革し、「女性も働きやすい職場づくり」を行い、より多くの方に門戸が開かれた企業としたいと考えたのです。
内永 おっしゃる通り、現在の少子高齢化社会において人材を確保するためには、多様な方々に働いていただき、その力を活用する必要がありますからね。
栗和田 そういった背景もあり、組織体制も整った2011年3月に「女性社員を戦力化し、収益の30%を担ってもらう」と宣言いたしました。業績面で目標数値を掲げれば、一企業としても業界としても、「それだけ女性活躍推進に注力している」という何よりの宣言になるからです。
栗和田 榮一 氏(くりわだ えいいち)
SGホールディングス株式会社
代表取締役会長
1946年新潟県生まれ。1977年に東京佐川急便(現:佐川急便)にセールスドライバーとして入社。1986年 大阪佐川急便社長に就任、1992年に佐川急便社長に就任。2002年に会長職に就任し、2006年に持株会社であるSGホールディングスを設立し会長兼社長に就任。2015年3月からは兼任を解き、現在に至る。
内永ゆか子(うちなが ゆかこ)
NPO法人 J-Win 理事長
1946年香川県生まれ。東京大学理学部物理学科卒業後、1971年日本IBM入社。1995年取締役就任。2000年常務取締役ソフトウェア開発研究所長。2004年4月取締役専務執行役員。2007年4月NPO法人J-Winを設立し、理事長に就任。2008年4月ベネッセホールディングス取締役副社長、並びにベルリッツコーポレーション会長兼社長兼CEOを経て、2013年6月ベルリッツコーポレーション名誉会長を退任。